翻訳者としての 「村上春樹」 入門

最後の瞬間のすごく大きな変化

最後の瞬間のすごく大きな変化

 天邪鬼の私は、『1Q84』 は まだ読みたくない。それでも、昨年初めて 『ノルウェイの森』 を読んで、遅まきながら 「村上春樹 デビュー」 を果たした(笑)。
 だが、翻訳者としての 「村上春樹」 には少なからず興味がある。それで、翻訳書を1冊読んでみることにした。

 章ごとの見出しには元々の英語も併記されていた。Faith in the Afternoon と Faith in a Tree の Faith が どうして 「フェイス」 となっているのだろうか と不思議に思ったが、読んで すぐに納得。人名だったのだ。Gloomy Tune は 「陰鬱な メロディー」、そして、The Little Girl は 「リトル・ガール」 と訳されていた。後者は嫌悪を感じる内容だった。読後は 「小さな少女」 と訳されていない理由が頷ける気がする。
 本の題名にもなっている Enormous Changes at the Last Minute の章の話は印象に残った。表紙の絵は、その話に登場する女性 アレクサンドラ の心情を表したものだろう と思う。情事の結果、妊娠するのは いつも女性なのだ。女性が幸せになるためには、男性以上に自分の心と体を守る必要がある と感じた。
 翻訳の過程を知るために 原文を見てみたい という気持ちがないわけではないが、作品そのものについては再度読みたいと私が感じるものではなかった。