心と行動

ノルウェイの森(下)

ノルウェイの森(下)

 読み終わった。乱暴な言い方をすれば、「20歳前後の ワタナベ・トオル が、次々と女性と関係を結んでいく話」。永沢という男性を登場させることによって、ワタナベ の純粋性が際立つ という効果がある と思う。
 もちろん、物語の本質は生と死、作者自身の言葉を借りるならば、「生の中の死」 ということであろう。ワタナベ の周りで多くの若者が死んでいく。喪失の中で、死の連鎖が もたらされているかのように。
 だが、ワタナベ は生きることを選んでいく。生と性は切ることのできない関係なのだろう ということは少し理解できる。物語として美しく、読後感も悪くない。でも、私の価値観とは違う。